Hawaiianas

No.21-30



ハワイでは様々な所に神が宿っていると考えられています。それは自然を崇拝してきた日本の八百万の神々と同じく神様がとても身近に感じられます。ハワイの神々は自然界にある植物や動物そしてある時は山や風などに姿を変えて人間の前に現れます。そのような神の化身を「kino lau キノラウ」と言います。キノラウには「いくつかの身体」という意味があり、ペレのキノラウはキラウエア火山、モオ、レフア、美女そしてある時は老婆など…複数存在しています。

ワイには多く神話や伝説が語り継がれています。古代のハワイには文字がなかったのでチャントやフラで物語を伝えていました。そのためハワイの暮らしには神々への信仰心が根付いています。例えばハワイの伝統食材 タロイモは、古代ハワイアンにとっては神聖な食べ物で「人間はKaloから生まれた」という神話が残されています。また火の女神ペレが関係する物語も多く、ペレの美しさや激情的な性格ゆえの悲恋の結末が描かれています。そんなハワイに伝わる神話や伝説そして王国だった頃のハワイなど、語り継がれてきた物語をテーマにした手仕事です。

No.01 PELE(火の女神)

Halemaumau, Kilauea, Big Island
Halemaumau, Kilauea, Big Island

ハワイの女神でもっとも有名なペレは火の女神です。ペレは、キラウエア火山のハレマウマウ火口に住みハワイ島の南を統治しています。ハレマウマウ火口近くのジャガーミュージアムにペレの肖像画が飾られています。それはオヒアレフアの髪飾りをつけたペレの姿で、漆黒の髪がキラウエア火山から流れる溶岩になっています。キラウエア火山そのものがペレであることを象徴している絵です。ペレは煌びやかで華やかな美貌と激情的な性格を持つ女神です。古代のハワイでは、結婚しても夫婦が一緒に暮らす事はなかったそうです。それは夫婦の仲の良さにペレが嫉妬し災いが起こる事を恐れたからです。そんな風習が出来るほどペレに引き裂かれた恋人同士の物語は数多くあります。その中で最も有名なのがオヒアレフアの伝説です。

 

オヒアレフアの伝説

イケメン青年のオヒアに一目惚れしたペレ。オヒアにはレフアという恋人がいたため、ペレの愛を受け止めることができませんでした。絶世の美女の愛の囁きを断るとは、オヒアなかなか義理堅い奴です。しかし拒絶されたペレの怒りは凄まじく、オヒアを木に変えて溶岩大地に置き去りにしてしまいました。そして帰らぬオヒアを思いレフアは泣き続け、何日も何日も悲しみの雨が降りました。そしてとうとう村に洪水が起きてしまいました。その様子を見た神々が、オヒアを人間に戻すのは無理だけど、せめて二人を一緒にいさせてあげようとレフアを花に変えオヒアの木に咲かせました。すると雨はやみ、オヒアとレフアは永遠に一緒に居られるようになりました。

 

オヒアとレフアはやっとの思いで一緒にいられるので、レフアを摘んでしまうとオヒアと離れ離れになり悲しみの雨が降ると言われています。ペレは時々(しょっちゅう?)怒りの噴火で溶岩を流し人の暮らしを飲み込んでしまいます。それは破壊なのかもしれません。ただ、ペレは創造のない破壊はしません。荒涼とした溶岩大地は、命のない漆黒の闇に見えますが、溶岩が冷え固まり数週間もすれば、クプクプというシダが芽吹き始めます。そしてオヒアレフアが根付きハワイ固有種の花木が育ち、生き物が暮らし始めます。溶岩が創り出した大地はミネラルを多く含む肥沃な土地への変わっていきます。ハワイ島に暮らす人達は、噴火を「ペレの怒り」と言い、ペレの破壊と創造を無駄に防ごうとはしません。溶岩に埋め尽くされた大地はやがて肥沃な土地になり、自分たちの子孫を育ててくれる事を知っているからだと思います。

PELEピアス

キラウエアから溶岩が流れ出し、空気に触れ徐々に冷えて固まり溶岩石になってゆく様子を表現しています。ハワイ島の溶岩を持ち出すとペレが怒るので、溶岩ビーズはハワイ島のものではありません。

Tears of Pele

キラウエアから噴出したペリドットが含まれる溶岩石や涙型に固まった溶岩の事を「ペレの涙」と言います。漆黒のエナメルでコーティングしたコナコーヒー豆を合わせました。

ネックレス

制作中


ペレのテーマカラーは「赤と黒」。赤は情熱を表す色や大地と繋がる第一チャクラの色、そして溶岩大地に咲く赤いろのレフア。こんなに赤と黒が似合う女性はペレ以外だとカルメンしか思いつかないです。そしてペレの色はペリドットのグリーン。ハワイアンダイアモンドと言われるペリドットですが、キラウエア火山から噴出した溶岩石に含まれるペリドットの事を「ペレの涙」と呼びます。ペリドットは火山が噴火し噴出した溶岩が急激に冷え固まった中に含まれています。噴火はマグマがマントルにあるカンラン岩を削って吹き出す地球の活動です。火山から噴出した溶岩が急激に冷えて固まる事でペリドットが作られます。カンラン石は無色ですが鉄分が含まれると緑色になります。鉄分が多くなるほど緑色は濃くなっていき、最終的には真っ黒の鉄カンラン石になります。「PELE」はもともとハワイ語で溶岩という意味だそうです。実はペレはタヒチからハワイに渡ってきたそうです。ニイハウ島に始まり、カウアイ島→オアフ→マウイと島を渡ります。ペレはマウイ島のハナで水の女神ナマカオカハイ(ペレの姉)と決闘し命を失ったとされています。そしてその魂がハワイ島へ渡りキラウエア火山のハレマウマウ火口を終の住処としたそうです。ハワイでは溶岩を持ち帰るとペレの祟りがあると言われています。それはキラウエア火山がペレそのものであり溶岩はペレの一部だという事、そしてやっとたどり着いた終の住処を荒らされたくないというペレの思いなのだと思います。


No.02 POLIAHU(雪の女神)

ハワイは常夏の島というイメージがありますが、雪を楽しめる場所があります。ハワイ島の「白い山」と言う意味のマウナケアです。冬になると山頂が雪で覆われ山が白くなる事からマウナケアと名付けられました。雪は11月ごろから降り始めます。マウナケアは標高4200mを超える高山で空気が澄んでおり天体観測の拠点としても有名です。日本のすばる望遠鏡もマウナケアにあります。このマウナケア山には、とても美しいポリアフという雪の女神が住んでいます。ポリアフは火の女神ペレを唯一黙らせる事が出来るハワイの女神です。

 

マウナケアの裾野でポリアフがソリ遊びをしていました。すると美しい豪奢な女性(=ペレ)が現れソリ遊びの仲間に入りました。ペレは美しいポリアフに敵意をむき出しでソリ滑りの競争に挑みました。しかしポリアフに2度も立て続けに負けてしまいペレは怒ります。その怒りでソリ遊びをしているマウナケの斜面に火口がいくつも出来ました。ポリアフは間一髪マウナケアの山頂へ逃げ冷たい空気を含んだ雲を集め雪を降らせました。ペレが作った噴火口は冷たい雪で溶岩に変わり火口を塞いでペレの邪魔をしてしまいました。そして流れ出た溶岩流も次々と氷結しました。それがラウパホエホエの奇岩風景になったと伝えられています。

 

それ以降何度もペレとポリアフは戦っていますが、いつもポリアフの勝利で終わります。ですが、ポリアフはペレをハワイ島から追放しようとはしません。マウナロアを境にハワイ島の北側をポリアフが、南側をペレが統治し共存しています。ポリアフが住むマウナケアは天へ繋がる場所です。そしてペレが住むハレマウマウは地球の中心に繋がる場所です。天と地そして北と南を二人の女神が守り自然のバランスを保っています。地球上にある13の気候のうちハワイ島には11の気候があります。そんなバラエティ豊かな自然が一つの島に存在するのは、ほとばしる情熱でハワイ島をクリエイトするペレと、ペレの創造活動を冷静に見守るポリアフがハワイ島を守っているからではないでしょうか。

 

マウナケアの山腹に黄色いマーマネという花が咲いています。マーマネはハワイ固有のマメ科の植物で、マウナケアとハレアカラの山腹だけに生息しています。ポリアフの歌に必ず登場する花マーマネ。ポリアフのフラは白い衣装で踊る事が多いそうですが、アクセントカラーは黄色を使います。「雪の女神に黄色?雪のイメージとちょっと違うな~」と思っていたのですが、黄色はマウナケアの山腹に咲くマーマネを表現していたのですね。そしてマーマネにはパリラという鳥が暮らしています。頭が黄色で身体が白とグリーングレーのオシャレな鳥です。南国の極彩色パラダイス感とは程遠い色使いのパリラは、黄色の花が咲くマーマネが生育するマウナケア山腹でしか見られない希少な絶滅危惧種のハワイミツスイです。パリラはマーマネのオレンジ色の種が大好物なのだそうです。マーマネが無ければ生きていけないパリラ、パリラが種を食べ運んでくれる事で育つマーマネ。マーマネとパリラはお互いになくてはならない存在です。しかし外来種の野生の羊や山羊が食べてしまいマウナケアのマーマネは激減しているそうです。そのためマーマネに暮らすパリラもを絶滅の危機に瀕しています。今、ハワイではマーマネの森を再生する活動が行われています。貴重なハワイの固有種 大切に残したいですね。

ピアス

黄色・グレー・白のチェコビーズはマーマネに暮らすパリラを表現しています。また、シルバーの飾りピンはポリアフが得意なソリ遊びをしている様子をイメージしています。

オーナメント

雪の結晶の上の黄色いビーズはマーマネの花を、結晶の下のビーズはパリラとパリラの大好物マーマネのタネを表現しています。

ネックレス

制作中



雪の結晶は温度で形が変わり、湿度で大きさが変わります。温度:-15度/湿度110%以上の条件が揃うと樹枝状(星型)の結晶ができます。そして空気中の湿度が高くなるほど結晶の枝に水蒸気がくっ付き大きく複雑に育っていきます。雪の結晶はその時その場所の条件で出来る大きさや形が異なるため、同じ形のものは無いと言われています。ポリアフがペレとの戦いで降らせた溶岩を冷たい岩に変えるほどの冷い雪はどんな形の結晶だったのでしょうか。


No.03 HINA(月の女神)

ヒナはポリネシア地域で最も古い女神で母性の象徴と言われています。そのためヒナはハワイの四大神と並び高位の神とされています。ハワイ語で月の事を"mahina"といいます。そして"hina"は月の女神、ヒーリングの女神です。ヒナは半神マウイの母として神話に登場します。ヒナが人間の男性のマロを着けて生まれたのがマウイです。ヒナはクーと夫婦という神話もありますが古代ハワイには文字がなく言葉で伝えられてきたので、島や伝えられた家によって内容は様々なようです。人間と結婚しマウイ島で暮らしていたヒナは良妻賢母で働き者で癒しの力を持つスーパー女神です。しかし結婚相手の男性がDV野郎だったようで夫の暴言暴力に耐えられなくなったヒナは虹を渡って逃げようとしました。しかし太陽の暑さに耐えられず失敗しました。しかし諦められないヒナはある満月の夜、空にかかったムーンボウを渡り月へ逃げたのだそうです。滅多な事では現れないムーンボウ、ヒナの忍耐と諦めない力が幸運を引き寄せたのでしょうね。「癒しの女神が配偶者のDVに!」なんだか闇が深そうな感じですが、ヒナはダメな現状を変えるべく動きました。成長するためには自分を育み養うことが大切だということを教えてくれる女神です。月へ渡ったヒナは大好きなタパ作りして楽しく暮らしているそうです。ヒナはカパ作りの名手で、彼女が作る白くて柔らかいカパは極上の品質なのだそうです。自分を活かせる環境を自ら作り上げ、そして生き生きと暮らすヒナ。四大神と並ぶ高位の女神といわれるのも納得です。ハワイで女性を表す"wahine"は"hina"が語源になっているそうです。全ての女性の源...ヒナ リスペクトです。

 

"hina"は「白色」や「銀色がかった灰色」という意味があります。これはマウナケアの「kea=白」のような明快な白とは異なり明るく優しい月のひかりのことを表していると思います。満月の夜、月の周りに白い積雲が現れると「ヒナが新しく作ったカパを乾かしている」といわれます。月には明るい部分と暗い部分がありますが、ハワイでは月の暗い部分はヒナがタパを作る材料のバニアンツリーだと言われています。ヒナはそのバニアンツリーの下で暮らしていて、ある時タパの材料に木の皮を取っていたら枝が折れて地球に落ちたそうです。その枝が根付き最初のバニアンツリーになったと言われています。

 

日本では「月に兎がいて餅つきをしている」と言いますが、ハワイ では「月を見上げるとヒナと彼女の瓢箪の容器が見える」と言います。月はヒナの食べもので、ひょうたんの中に入っていました。ある時、ヒナはひょうたんの蓋をあやまって開けてしまい、月が浮上し天に昇ってしまったそうです。月に満ち欠けがあるのは時々ヒナが月をかじるからだと言われています。ハワイでは、月齢毎に名前が付いていて、その時々にいろいろな意味があるといわれています。ちなみに十五夜のことは、Hōkū(ホークー)といい、満月の二日目の夜を指します。ちょうど周期の半分になり月の暦が頂点を迎え、すべての植物を植えるのに最高の日とされています。

 

ハワイの創世神話「クムリポ」によると、モロカイ島は月の女神ヒナが生んだ島とされています。「フレンドリー・アイランド」と呼ばれるモロカイ島は、ハワイ諸島の主要6島の中で最も観光開発が進んでいない昔ながらのハワイの慣習が今も息づいている素朴な島です。モロカイ島では不漁が続くとヒナが海上の一カ所に涙の雨を降らし、大きな虹をかけると言われています。漁師たちはそれを目指して船で行けば、豊漁が約束されていたのだそうです。その一方、ヒナの気分を損ねると、大雨や津波を起こしてしまうそうです。自然と神が融合したハワイらしい言い伝えです。


No.04 MAUI(半神マウイ)

マウイ島ハレアカラの東の麓ハナ湾に面したカウキという所に住んでいたマウイはいろんな伝説を持つ半神です。マウイの母は月の女神ヒナですが、マウイは胎児の頃からやんちゃだったそうです。やんちゃすぎてヒナのお腹から飛び出していたずらをし、大人に追いかけられてお腹の戻るなんて荒技を繰り返していたそうです。ある時は老婆に貰った水のお礼に天を高く持ち上げたり、母のために太陽を捕まえたりなかなか豪快野郎です。マウイが天を持ち上げたため太陽が通り抜けやすくなりあっという間に昼間が終わってしまうようになり、母親のヒナがタパが乾かず困っていました。そこでマウイはハレアカラ山頂で待ち伏せしバナナを餌に太陽の足を捕まえました。そして「ゴルァ太陽!もっとゆっくり動けや!」と締め上げました。それ以降、昼と夜の長さが同じくらいになったそうです。またある時、マウイは兄たちと漁に出て先祖伝来の魔法の釣り針を使いでっかい獲物をヒットしました。長い時間格闘しましたがあまりに引きが強くてなかなか釣り上がらず途中で糸がたわみ獲物を逃してしまいました。それがハワイ島のヒロ湾にあるココナッツアイランドです。え?島を釣り上げてたの?...別の言い伝えにでは島を引っ張っていた餌の鳥の羽が途中でばらけハワイ諸島になったそうとあります。もし途中でばらけず島を釣り上げていたらハワイは太平洋の大陸になっていたそうです!マウイ兄貴の武勇伝はスケールがデッカくて面白いです。


No.05 KU(クー:戦いの神)

カメハメハ王の守護神とされるクーは、ハワイ四大神の「戦いの神」です。ハワイにあるルアキニと言われる生贄が必要なヘイアウにはクーが祀られています。古代ハワイでは戦いの勝利を祈りクーに生贄を捧げていました。そんな強さや怖さが注目されるクーですが、豊穣の神としての面も持っています。ハワイで子供が生まれるとその子が一生 食べる事に困らないように…そんな願いを込めて庭にウルの木を植えます。そしてウルはクーのキノラウと言われています。クーとウルにまつわる「クーの神の贈り物」という素敵なハワイ神話があります。昔々、クーが人間の姿で暮らしていた時のこと、村と家族を飢餓から救うために "豊穣の神"クーは 自ら地面へ潜りました…クーが潜った場所から 若葉が芽吹き、グングン育ちウルとなり美味しい実をつけました。クーが家族を思い 贈ったウルは家族を育てると共に村を飢餓から救いました。豊穣の神はロノというのが有名ですが、ロノの豊穣は 太陽の恵みとか 心地よい風など包み込む優しい自然のイメージで、クー神の豊穣は 豪雨 雷 強風 と言った荒ぶる方の役割のようです。また、クーは月の女神ヒナと夫婦とされていてペアで登場する事が多いのです。登る太陽はクー、沈む太陽はヒナ。マナカードでもクーとヒナが一枚のカードに描かれています。クーは前進・行け!のサイン、ヒナは熟考・休憩のサイン。オンとオフ両方必要と言う事ですね。


No.06 LONO(ロノ:農耕の神)

ハワイ四大神で平和と農耕を司るロノは豊穣の神です。武闘派のクーの荒々しい豊穣とは異なり太陽の恵みや心地よい風など包み込む優しい自然のイメージを持つ穏やかな神様です。暮らしの基盤である食に関する神なので、古代ハワイの収穫祭マカヒキの主神になっています。昔、ロノは美人な妻の不義を疑い殺してしまったそうです。その罪を償うため豊穣を約束しカヒキ(ハワイアンの伝説の故郷)へ修行の旅に出たそうです。そのロノが帰還するのがマカヒキです。T字に組んだ木に白い布をつけたロノマクアをロノの象徴としマカヒキで掲げられます。そのマカヒキを行なっている時に大きな帆船に乗ったキャプテンクックがハワイ島に現れたのです。さらにロノの肌は明るいという言い伝えがあったため古代ハワイアンは完全にキャプテンクック=ロノだと信じてしまったそうです。キャプテンクックはそんな事はつゆ知らず、なんて友好的な人達だーって思っていたんでしょうね。2回目に登場した時は、ロノじゃない事が判明し大惨事になっちゃいました。

豚とククイの木はロノのキノラウと言われています。豚はハワイアンにとってのご馳走で、ルアウ(宴)の豚料理が有名です。そういう事からロノは豊穣の象徴なのかもしれません。そしてククイの葉っぱの形が豚の耳に似ている事からククイの木がキノラウになったそうです。


No.07 KANE(カネ:生命の神)

ハワイの創世神話「クムリポ」で四大神カネ、カナロア、クー、ロノがこの世を創ったと伝えられています。

昔、真っ暗闇で混沌とした世界にカネ神がいました。やがて暗闇に光が差しカナロア、クー、ロノが現れました。カネは、海からヒョウタンを拾い上げると、高く放り投げました。すると蓋が空に、残りが大地になりました。果肉は、太陽と月に、種は星になりました。この世が出来ると、カネは地上の生き物を、カナロアは海の生き物を、クーは森の木々を、ロノは食用の植物を創りました。さらにカネは、赤土をこねて人形を創り、生命を吹き込みました。これが最初のハワイアンだということです。このようにカネは四大神の中でも創世の神として重要な役割を担っています。カネはあまりにも尊い存在のため木彫りの像にする事ができなかったので自然の石をカネに見立てお祈りしたそうです。それは生活に根ざしたもので、どの家にも「ポハク・オ・カネ」と呼ばれる大きな石が据えられていました。カネの石の周りにはティリーフが植えられ、男性によって豊穣の祈りが捧げられたそうです。カネのキノラウはタロイモです。タロイモはカネから誕生したという言い伝えがあり、カネ=男性だけで栽培されていたそうです。


No.08 KANALOA(カナロア:海の神)

カナロアは、海に生息する魚や波そして潮流などを司る海の神です。太平洋に囲まれたポリネシアではカナロアは創造神と位置付けているそうです。海とともに暮らすポリネシアならではの考え方ですね。ハワイではカナロアは「海の神」とされており航海の安全や豊漁を祈願してカヌーの帆先にカナロアを取り付けています。そして海に住む鯨やイカそしてタコがカナロアのキノラウとされています。ハワイの創世神話クムリポでカナロアは「変な臭いがするヘエ」と記されています。ヘエはハワイ語で「タコやイカ」の事ですが、わざわざ変な臭いって...どんなのか気になりますね。古代ハワイではヘエは病を追い払うと信じられていて、治療の儀式で使われていたそうです。変な臭いで邪気を払っていたのでしょうか?想像するだけでちょっと空気が悪そうな感じですね。しかしパイレーツオブカリビアンでもイカの怪物「クラーケン」が登場していたので、海の支配者はやはりイカ&タコなのでしょうね。そう言えば人類の次はイカが世界を支配するとも言われています。地球の温暖化が進んで陸地が少なくなれば陸上に暮らす生き物は淘汰され、海の支配者の台頭がありえますね。特にイカは知能指数も高いと聞きます。イカが支配する世界では人間は家畜になっているかもしれないですね。

 

カナロアは、冥界と繋がっているとも伝えられていたので、キリスト教宣教師からは悪魔と思われていたそうです。しかしハワイアンにとって冥界は先祖とのつながりを持つ場所なのでカナロアはとても大切な存在だったと思います。カナロアのもう一つのキノラウはバナナです。バナナはカネとカナロアが作ったとされています。古代ハワイアンにとってバナナはとても神聖な食べ物で、バナナはアリイやカフナだけが食べる事を許されていました。また熟したバナナは女性は食べてはダメで食べると死が訪れると言われていたりしています。誕生と繋がるカネとタロ、冥界と繋がるカナロアとバナナ。この二人結構仲良しでいろんなところに旅をしているそうです。そしてもう一つのキノラウはアラアラプロアというハーブです。アラアラは「タコの肝」という意味ですがどんな植物かは謎です。もしかして「変んな臭い」がするのでしょうか?

 

マウイ島の南にあるカホオラヴェ島は別名カナロアと呼ばれ、海の神カナロアに捧げられた島と言われています。大きな神殿跡や貴重な遺跡が数多く残る神聖な島で古代ハワイアンが暮らしていた形跡もあります。カナロアと呼ばれるだけあり、この島は航海において重要な島と考えられていました。カホオラヴェ島とラナイ島の間の海峡は、ハワイ語で「ケアライカヒキ(タヒチへの途)」と呼ばれています。カホオラヴェ島には航海の標識だったといわれる巨石が残っているそうです。そんな聖なる島ですが度重なるハワイの戦いで荒廃が進んだ上に、西洋人の入植で食料供給のためにヤギや牛が放牧されました。そのため島の固有植物は壊滅的な被害を受け、土壌は荒れ果ててしまったそうです。その後は流刑地となり、戦争が始まると米軍に占領され戦時中は爆撃練習の標的となりました。1970年代に起こったハワイアン・ルネサンスは、そんなカホオラヴェ島を米軍から取り戻し、ハワイ先住民の文化と宗教の活動にのみ使用することを政府に決定させました。カナロアと呼ばれていた頃の聖なる島が復活する事を祈るばかりです。


E Komo Mai


ALOHAnobの手仕事へお越し下さり、ありがとうございます。ハワイで拾い集めたモノや思い出をネタに、アクセサリーや小物を作っています。LIVE, LOVE, LAUGH and GIVE ALOHA! をモットーに創作活動をしています。気に入って頂けた作品は、minne/creemaなどのハンドメイドマーケットでご購入いただけます。京阪神地区の手づくり市に出店したり、ショップに置かせてもらったりしています。このWEBサイトでは、マーケットで伝えきれない作品のバックストーリーを紹介しています。また、身の周りで気づいた ”日々のALOHA” を、instagramの「ALOHAnobの手仕事」でつぶやいたり、ハワイ旅行のいろんな事をブログ「一日・一ハワイ」で発信、毎週4で更新しています。  * Mahalo ALOHAnob 2018 *